最近、移転で製作があまりできておらず、新作紹介を心待ちにしてくださっている方もいらっしゃるかもと勝手に思い、今回は前に少しだけ紹介した自分の通勤車を。
展示・保管しておく場所がほとんどない文京工房では、Rew10で製作可能な様々な仕様をご理解いただくために、少ない台数でいかに技術の幅を知っていただくかを考えて凝縮濃厚なモノを作っていたのが文京工房でのサンプル製作の進め方でした。
上馬工房では展示できる場所が今後できそうなので、モデル設定などを考え少し違った見せ方も追加しご覧いただくようになると思われます。
自宅の文京区から新工房のある世田谷上馬まで、ネットで通る道を計測してみたら片道おおよそ14kmほど。
往復30km弱、一日走るのに自分にはちょうど良い距離感です。
自分にとって自転車は移動のための道具ですので、移動する理由がないと普段自転車には乗りません。
通勤という強制的な理由があると毎日乗れるということです。
乗れる理由ができて少しのんびりと楽しく通勤しております。
変化する街を横目に、知人のメッセンジャーさんたちに追い抜かれ、同じ道でも毎日異なる通勤路を楽しんでおります。
上馬に移転したら私的所有物の乗る自転車を一台に絞り、いままでの製作物は少しずつ整備し展示品にまわそうかと考えて作った一台です。
自分のライフスタイルに必要なものは何かと考え、短期間で乗り換えることが無いように模索しました。
10年、20年、アンタまだこれ乗ってんの?と言われたいと思いながらの製作。
これはランドナーに少しクルーザー要素を取り入れたフレーム設計です。
ランドナーの平均値よりもヘッド・シートアングルを少しだけ寝かし、ゆったりと流す仕様です。
トップチューブがC→Cで570mmとかなり長めの設計、ホイールベースを長めにして安定性を出すのが狙いの一つです。
遠くなってしまうポジションは短めのステム&リーチの浅いドロップハンドルで解消しております。
おかしくない程度にフレームを大きく見せ、体をスマートにみせる効果も狙いのうちです。
これはセミオーダーモデルの"Randcruiser"としてモデル設定します。
オプション設定で各種追加仕様を盛り込みます。
デフォルトでは画像のものと細かい仕様は少し異なりますが、オプションで設定可能にします。
パーツは前回のスタッガード29erからの流用です。
前作は組み替えて展示します。
この自転車は走行に必要なものがほとんど搭載されているフル装備車。
過去の通勤でにうっかりいろいろと忘れ物をしたりしていた自分のために考えた仕様です。
どっか停めて鍵かけようと思い、アッ!鍵忘れた...なんてことがないようにキャリアにU字ロックホルダーが搭載してあります。
なかなか便利です。
帰り道にライトつけようかな~と思い、アッ!ライト忘れた...なんてこともなくフォークにライト搭載です。
ダイナモハブも搭載で走れば勝手に発電してくれるので、もちろん電池換え忘れなんて惨劇もありません。
Schmidt edeluxというライトですが、すごく明るくてかなり調子良いです。
雰囲気の良いライトなので、フォークにグルグルとコードを巻いては雰囲気台無し、コード内装にするのがこの自転車の一番苦労した箇所でしょうか。
内装した箇所は錆びぬようステンレスパイプを通しております。
普通のパンツ穿いてて、アッ!気がつけば裾が真っ黒なんてこともないようにチェーンカバーも装備です。
おかげでまくり忘れてもクリーンな裾でいられます。
泥除けも装備してますので、急な雨でも路面の汚れが跳ねることなくクリーンでいられます。
見た目シングルギアですが、シマノ内装ハブ&VERSAというSTIタイプのレバーで手元11段変速を実現しております。
装備品が多いので車重があるので、変速は欠かせません。
こいつもなかなか調子よく通勤を手助けしてくれています。
でもたまに歯飛びみたいな現象があるのはなんだろう。
センタースタンドも付いているので、カミさんにスーパーの買い物を頼まれても他のママチャリと綺麗に並べて停車可能です。
制動関係はお得意のフロント140mmローターディスクとリアはセンタープル。
自転車はメーカーもビルダーも前後ブレーキを揃えるのがやはり定石としてありますが、それを必要に応じて少し崩しております。
フロントディスクは急な飛び出しにも反応できるしっかりとした制動力と、雨でも制動力に変化が少ないという、ストリートでも有効な仕様でございます。
わざわざ140mmローターにしている理由は、がっつりとしすぎるディスクの制動力をマイルドにするのと、細めのテーパー管への負担を軽減させる理由でしております。
ローターが小さくなる分、多少の軽量化にも貢献します。
なかなか気付かれませんが、見た目の個性も出ますね。
私的にリアはディスクだとききすぎる感があるので、軽量化も考慮しストリートではリムブレーキが最適という考えです。
あとは濡れても黒いカスがでないセラミックリムに改造すれば、私的理想形です。
引越しで資金を使ってしまったので、改造は先送りです。
ネジは負荷があまりかからない箇所のネジがすべて真鍮ネジに変えてあります。
真鍮は使い込むほどに表情を変化させ、毎日のライドを楽しくしてくれます。
塗装は黒に見えますが、フレームカラーの超濃紺とパーツのシルバーとブラスのくすんだ金色のコントラストを楽しんでおります。
ディスクブレーキ部など負荷のかかる場所はワッシャーだけ真鍮に改造してます。
真鍮は得意素材として今後も重用していきます。
各部画像はflickrに後であげておきますのでご覧ください。
装飾的な特殊ギミックは今回は全く入れず、オーソドックスに実用性を追求した自転車でした。
シーンを選ばないシンプルな見た目からも永く付き合えそうです。
雨の日もこいつで通勤をしています。
何十年も乗って、やれた感じをお見せしたいところです。
私物はこれ一台でしばらくお腹いっぱい、当分組むつもりはなく一台で乗り切ります。
これからも楽しく通勤が続きます。
はやく涼しくなって欲しい。