依頼する側の気持ちを忘れてはならない。
使い捨てのモノよりも、末永く飽きずに付き合えるモノを愛す趣向があります。
数年前ぐらいから、長く付き合ってきたスニーカーたちが次々と悲鳴を上げていきます。
元通りのソールに張り替え、甦らしたい気持ちはありつつもかなり難しい。
納得のいかないソールには治したくない。
ブーツならばソールの張り替えもできて、スニーカーよりも長く付き合える。
そんなことから一年中のほとんどをブーツで過ごすように気が付けばなっている。
日頃の扱いやメンテナンス次第で何年履けるだろうか、と日々の経年変化を楽しむ。
過保護でなく適度に大切に、そして普通にさりげなく使い、十年、二十年と履けていたらどんなに幸せなことだろう。
自分のライフスタイルには自転車が欠かせません。
しかし自分の愛するブーツというのは丈の長いモノが多く、ペダリング時のくるぶしの動きを妨げます。
俗にOxfordと呼ばれる丈の短いブーツも持っていますが、これが慣れるとスニーカーのような履き心地で実にペダルが踏みやすい。
以前に安く入手することができたけどあまり履いていなかったVIBERGのブーツ。
普段履きには最高でしたが少しタイトな作りだったので、自転車濃厚な自分のライフスタイルでは少々出番が少なかった可愛そうなヤツ。
この丈が短ければ自分のライフスタイルに合致し、もっとコイツを使い倒してあげれることだろうとカスタムを検討。
幸い近所に定評のあるBRASSさんというブーツカスタム工房があり、持って行くことに。
面識あるわけではないですから緊張します。
うちのお客さんもこんな気持ちでうちの工房へ足を運んでくれているのかと、モヤモヤしながら楽しみに向かいます。
ついてみればブーツ好きにはたまらない空間。
修理やカスタム待ちの靴たちがずらり、リアルな機材が立ち並ぶ。
さすがこだわって仕事しているのか、対応も丁寧かつシンプル。
どの辺でカットするか、カットするアールはこんな感じか?とか詳細な対応に心が躍る。
タグは移植しておきますね、とかこちらが言っていないのに良いアプローチも当然のようにしてくれる。
納期は一か月ほど。
待ち遠しい。
でも良い仕上がりを期待し、信じて急かさず待つ。
上がってきました。
想像していたよりもずっと自然な仕上がりで、細部をじっくりと見ると最初からこういった靴であるかのような仕上がり。
ブーツ好きの人が縫い直してくれたことが作りをみると感じ取れます。
指定しきれていない箇所が、自然で良い作りになっている。
納期もぴったり。
履いてみてもイメージ通りに調子良く、スニーカーのような履き心地に嬉しくなる。
長く付き合えそうな予感です。
とても良い仕事を依頼できたと満足です。
畑は違えど非常に感銘をうけました。
自分もこういった気持ち良い対応ができるように、技を磨いてより良い対応を心がけないとなりません。
作っている側は光陰矢の如し、待っているほうはまだかまだかと首を長く楽しみにしている。
作るばかりでなく、ときには依頼する側の気持ちというのを忘れないでおくために体験することが大事です。
お待たせしてるお客様、大変申し訳ないです。かっこよく仕上げるので少々お時間をください。
持っていきたいブーツがまだある。
頑張って作ってお小遣い作って、忘れぬためにもまた行こう。