三年越しの製作。
メッセンジャーをやりながらバイクポロを極めようとしているTommyの専用車。
彼とは色々とバイクポロ用のカスタムをあれこれ繰り返してきました。
最初の頃と今とでは、要望の次元が全く異なり相当な高みを望んでいます。
こちらも色々と要望に応えてきて、最近やっと彼のプレイスタイルとフレームに対する性能の出し方が明確になってきました。
その要望を乗っていたフレームで叶えることはすでに難しい領域になり、その要望を叶えるにはカスタムビルドしかないと製作に至りました。
コイツはバイクポロフレームというより、Tommy専用車。ガチで戦うバイクです。
仕上げは特別な手法で行う、溶剤を使わない黒鉄仕上げ。
決して綺麗な仕上げではないですが、味を好む方には良い仕上げです。
彼の要望でフィレット仕上げはしておりません。
写真は乗って帰るためにリアブレーキがついていますが、ポロをやるときは外します。
彼曰くプレイ中にリアブレーキは最早不要らしく、リアブレーキをつける穴やダボなどはフレームには一切つきません。
ポロだけのことを考えた、実に潔い仕様です。
仕様は彼のプレイスタイルと要望を全力で形にしたものであり、他のポロプレイヤーが乗っても乗りにくいのかもしれません。
いままで乗っていたフレームが700c用のフレームに26インチをはかせたもので、しかもそのフレームのハンガー位置が低めのフレームでした。
クランク長が短いモノ等をつけるなりして彼なりの工夫をしておりましたが、極度に低いハンガー位置では地面とペダルが当たることが多く、プレイスタイルの足枷となってました。
持続的なスピードよりも瞬発重視なので、長いクランクをはめたいところだが低いハンガーでは装着が難しく非常にむず痒いところ。
それを解消すべくハンガー位置はかなり高い位置に設定し、長めクランク装着とずっと気にしていたペダル下死点も高くなり、プレイの幅を広げられたはず。
ガチガチにそり立つシートチューブ、 安定性は捨て極度の瞬発力を考えた角度。
反応性能の出し方が相当個性の強いフレームです。
志の高い彼は海外遠征もしますが、その際の航空費を少しでも抑えるためにデモンタブル。
上側のジョイントはRitcheyのBrakawayを使用しました。
比較的軽いジョイント方式であるのと、彼のプレイスタイルにトップチューブに膝を当てる動作が多いようなので、トップチューブはフラットに仕上げるように構築した仕様。
カップリングだと凸ができるのでコレにしました。
分割も六角レンチ1本で済みます。
瞬発力に耐える剛性と強度が欲しかったので、28.6mmチューブ用のBrakawayは使わず、外径31.8mmのより強固に作りこんだオリジナルジョイントをダウンチューブに採用してます。
かなり強靭に作ったのでその分重量もある箇所ですが、BB付近を強固に作りこむことでロス少なくペダリングパワーを受け止めます。
ジョイントの境目もパイプ径を合わせることでシンプルな仕上がりでまとめてます。
フォークも瞬発的に扱われるディスクブレーキの制動力に耐えうるように、ブレードの太さや接合法など、細かいところに相当な作り込みをしたつもりです。
コレは勝手に自分が作ったモノで、サプライズでプレゼントしたローターガード。
自分なりに彼の要望に基づいたガードとなってます。
仕上げの美しさはあまり考えず、その場で構造を考えやっつけながらしっかり作りました。
アドリブながら相当に堅固なガードに仕上がっており、ボールはすべて弾き返すことでしょう。
以前Tommyからもらったポロ用ボールをあてがいながら作ったので、ボールがくぐる隙間は当然ありません。
少々ローター径より大きめに作ったので縦方向からもローターを守ってくれることでしょう。
銘切は彼の目標を願掛けで刻みました。
仕様だけでなく魂が込められます。
その他すべて書いてるときりがありません。
まだまだありますが、この辺にしておきます。
あとはflickrにあげておきますのでご参照ください。
こういった用途と個性が特殊すぎるフレームはカスタムビルドでないと製作不能かと思います。
これぞ誂え、これぞオーダー車という濃厚な一台です。
オーダーに至るまで数々のプロセスがあったので、双方の考えが一つにまとまってできた良い一例です。
直に顔を合わせ、相談を重ねるカスタムビルドの真骨頂。
どちらが上ということもなく、お互い敬意を持って対等に相談を進めると非常に良いものが出来上がります。
時間と手間も余裕を持ってくださるともっと良し。
オーダーの際はまず自分を信用してください。
乗り手の考えを汲み取るためにも、信用して話してくれないと何も始まりません。
要望には経験で応じ、熱意には心意気で応え、信頼には誠意で返します。
考えを汲み取るという動作は得意としているつもりです。
こうしたければこう、ああきたらこう、これなら...と要望を仕様として具現化するやり方は過去よりもかなり確立できていると感じます。
なんでもかんでもできるわけではありませんが、まずはご相談いただければと思います。
今週末の23日の土曜日は彼の結婚パーリーにて工房は早めに閉めます。
午後3~4時頃までで閉房予定です。