ある日、知人から紹介を受けたらしく、こんなアングラ工房宛てに珍しく女性からのカスタム依頼のメール。
行きつけの自転車店でうちを紹介されたらしい。
聞けばこのお店には元同僚のメッセンジャーが勤務、彼からの紹介で嬉しい懐かしさを感じる。
とことん自分にはメッセンジャーがついてまわる。
ご予約いただき、さて予約当日。
ヒールできめた、通常Rew10にはお越しいただけないような女性のお客様。
ラレーの自転車に乗っていて、リアメカハンガー部が曲がってしまったとの事。
過去に3度曲げ直し修正をされた経緯を伺う。
たしかにここは自転車の弱点、ぶつければすぐに曲がってしまう。
曲がりついでに爪自体も開いてしまっている。
これではホイールの嵌め合いが悪く、気持ち良い使用が出来ない。
ただ直すだけならば簡単、しかしそれではこの人の悩みは真に解決できないであろうと、エンド差し替えを提案。
何故、差し替えを勧めるかしっかり説明させていただいた。
その手法を気に入ってくださり、いざ施工。
うちのオーダー車でも一押しのステンレスリプレースエンドに修繕&改造。
鉄フレームは一体式が基本。
曲げ直して修繕する考えが一般的なので交換できる仕様は比較的珍しい。
エンド自体は鉄、少々肉厚ゆえに小ぶりでも理に叶った頑強さ。
リプレース部分も肉厚十分なステンレス。
粘りがある素材なので曲げ直しもでき、 最悪折れてしまった際も取り替え可能。
またトラブルがあろうとも今度はスムーズに解決します。
その人の立場で考え、適切な方法を提案。
よく聞きよく話し、乗り手が如何に悩んでいるか汲み取る。
ついでに進化ができれば、それも行う。
相談に時間をかけられるのが、ちっぽけな工房。
実は施工後の写真を撮り忘れてしまっていたのですが、本日颯爽とお越しくださり加工後の撮影ができました。
修繕ついでに芯出しも行ったので、走行感も良くなったというお声を頂戴。
リーズナブルな自転車なので直してもらうのも何か申し訳ない、と相談時に連呼されていましたが、大事にされている自転車に値段など関係無し。
オーナーさんが必要とするならば、ママチャリフレームであろうが、超高級車だろうが、同じに作業します。
やはり良きお客様に喜んでいただくのが唯一のやりがいか。
儲けの出にくい職種だが、やっていてよかったと救われます。
しかし本日はエンドレスで客人ご来訪。
濃厚すぎる方々と午前中からさっきまで話しっぱなし。
こんなアングラ工房にわざわざ足を運んでくださり光栄でございます。
皆様、本当にありがとう。
なにより先に、やはりハートだな。