二夜連続工房宿泊決定の夜な夜な作業、ただいま力尽きました。
まともに帰れない状況でも心配してくれる家族に感謝しつつ、もはや早朝の工房です。
年老いてから少しは楽できる腕と経験を身に付けるべく若いうちは頑張りたいところ。
いよいよ明日の隆天會、ユーザーさんの手厚いご協力で続々と自転車が集まっております。
わざわざご足労いただいたお客様、心より感謝致します。
懐かしい我が子と対面するような気分で、細部を見て過去の自分と会話しているようです。
初期~最近のものまで色々と並び、心境と技術の変化を感じます。
思い返せば、漢字切り抜きラグ、ヘチンズ見てできるか挑戦したクネクネ曲がったステーなど、変に手間のかかる工作をやっていた。
野心と情熱の塊だった最初期の作品、目立とう目立とうとか、人に対し対抗意識燃やしたりとか無粋で不純な野心が製作にでている。
小手先だけ見た目だけな深みのない仕様、その仕様を作る動機もなんか浅い。
今思えば実に甘い、なにやら作りに焦りも感じた。
しかし、初期の並々ならぬ情熱がこもったフレーム。
これを今作ろうとしてもきっと別のモノが出来上がる、二度と同じモノは作れない。
もともとシンプルな工作が好きだったのにも気付かず、野心が先行して歩むべく道が完全に見えていなかった暗中模索の初期。
自分のモノや、ごく親しい友人のフレームしか作っていない時期。
野心が邪魔して好きな雰囲気ではない偽りのような産物が多かったかもしれない。
作る度にシンプルで理に叶った仕様が好きな事を少しずつ思い出してきた。
サンプルを自分好みのシンプルな自転車にしてから、色々変わった気がする。
好きなモノを打ち出す、それは自然で嘘が無く純粋だ。
深み。
なかなか纏うことのできないそのオーラを放っている作品に人は心打たれるのでしょう。
作り込みってのは薀蓄云々ではなく、知識がなくとも感じるもの。
見た目の造形ではなく、もっと深いところからでないと出せない味だと思う。
技術、経験、知識、感性、心意気、製作理念、歩んできた人生、人柄、色々な事が折り重なりオーラを放つのだと。
自分のフレームがその類のオーラを放っているかは作り手の自分にはわかりませんが、最初期のモノにはそれがほぼ無いのは明らかな気がする。
フレームビルドは競技ではないので、人と比べる事はできないと思っています。
誰かを目指してもオリジナルのその人には絶対に適わない。
Rew10のフレームは自分にしか作れない。
なので人と争ったりはしない、ライバルは過去の自分のみです。
お前にだけは負けねえからな、と作る度に前のフレームは超えてやろうと過去の己に火花を散らすわけです。
そんな心境で最近の自転車をライバル視してみていると、やはり最近のは手強い。
初期は毎回圧勝していた気がするけど、最近は僅差でしか勝てない。
まだ負けは少ないが、多く勝てるように腕を磨こう。
こんな調子で初期の邪な野心はすっかり形を変え、製作するモノも変わった気がします。
フレームビルドの楽しさがやっとわかってきたような。
こんな悶々とばかりしている根暗野郎が作らせていただいた自転車を一堂に集めた初の個展。
自分がオーダーする側だったら一番見たいと思うのは、他のユーザーさんの自転車です。
実際納められている自転車の出来はどんなものか、それを見れば出来上がりの自転車の出来栄えもイメージしやすいと考えます。
展示車は綺麗で当たり前、そうではなく実際納車している自転車をバカ正直に見ていただきたい。
飾り物ではなく道具、心地よく使えてナンボ。
これがうちの求めるリアリティです。
尚、オーダーご検討中の方は最近製作のフレームを参考にしてください、それが出来上がりの雰囲気に近いです。
どれほどの人がお越しになるのか予想もつきません。
閑に浸りヤケ酒でも呑んでいるか、はたまた話疲れるほどの人がお越しになるか。
それでは妙な空気感の隆天會、明日11時からです。
ご来場心よりお待ちしております。
終了時刻を記載していないのですが、おそらく日付が変わってもお越しくださった方と談話を楽しんでいると思うのであえて記載してません。
20日中でしたらおそらくご覧いただけると思います。
遅い時間にお越しでも大歓迎ですが、Rew10 Riders meetingの流れでお酒を飲んでしまっているかもしれません。
本来の対応はできないかもしれませんが是非お越しください。
寝不足の駄文、失礼しました。