お客様が実際に乗られている自転車をお借りしてずらりと並べた個展隆天會。
無事盛況で終えました。
実際に乗られている自転車を見ていただく。
これ以上にリアリティを語る方法が見当たらず、これが自分の出来る最高の誠意。
ビルドで嘘はつきたくない。
形にはなっているけど乗れない、うちにはそんな自転車は無い。
自転車は展示されているだけでは自転車ではない、人が乗るから命が宿る。
それを見て感じていただきたかった。
少し前から感じていたのですが、展示品を作るってのはいまいち燃えないんです。
乗る人が居ないのでイメージしにくい。
誰か乗る人がいて、その人の思いを形にするのが面白い。
展示品に手間を注ぐよりも、お客さんの一台に魂を込めたい。
人に見てもらうから綺麗に作る、展示会のために特別なモノを作る、作りに変化が出るわけでもないけどなんか魂が入らない気がする。
乗った人に最高だと言われたい、オーダーしてよかったと言わせたい、これが一番燃える。
見た目や仕上げが美しいだけではなく、組まれたものを見ただけではわからない箇所にはどれほどの作り込みがなされているのか。
乗り手の考えを如何に汲み取り、心地よく使うことができる自転車を作れているかは乗った人でないと感じることができない。
見て乗って使って様々な行動を共にして、はじめて良き道具と感じることが出来る。
使うことで作り込みを感じることが出来る、使われているものこそ真の美しさがあると考える。
良い自転車だと乗って使った方々に言っていただく、これが自分にとっての一番の誉れであると思えます。
人のためとかいうとウソ臭いし綺麗事に過ぎないのかもしれない、結局手間をかけるのも自分の好奇心と、絶対良いって言わせてやるといったエゴなのでしょう。
『本物を目指したい』という欲望が手を動かす。
自分にとっての本物とは、展示品ではなく乗って良いもの。
どれほど人の思いを的確に美しく形に出来たか、要望に沿い自分の作り込みが伝わったときの快感は何度でも味わいたい。
こんなところを目指していますが、まだまだ本物と呼ばれるには生意気すぎるぐらいに己の力量が足りない事は肌身で感じております。
未熟だからこそ、より良い自転車を作りたい欲望がために探求を続けます。
フレームビルドの楽しさ、お客様のおかげでやっとわかった気がします。
まだまだ微塵も技術の天辺が見えもしないのでまだまだ楽しめそうです。
良きお客様のおかげで素晴らしい個展を行うことが出来ました。
自分が思い描いた楽しさを遥かに超える會でした。
願わくばまた来年に㐧弐回 隆天會を行えればと思います。
最低でも閏年に一度はやりたい。
またお客様の支えが必要になります。
そのためには今までオーダーくださった方をがっかりさせないように、これからのお客様のフレームを作り込まなければご協力をいただけないでしょう。
作り込むのは自分の欲望でもあるのできっと頑張れると思います。
今回、自転車を貸してくださったお客様、御恩は絶対に忘れません。
なにかしらの形でお返しさせていただくつもりです。
厚かましいですが、また開催するときには貸していただきたいです。
ご期待と信頼を裏切らないように精進しますので、またお力添えをお願い致します。
今回は比較的お近くにお住まいの方で持ち込みができる方をお誘いしました。
持ち込みがご負担になりそうなお客様は今回あえてお誘いしておりませんでしたが、今回展示した自転車と思いは同じです。
ご理解くだされば幸いでございます。
次回開催の際にご縁があれば展示させていただけましたら嬉しいです。
㐧弐回、コイツも腕を上げたなと言われたい欲望が湧いてきます。
過去の己は打ち負かしてやろうと思います。
支えてくださった方々、本当に有難うございました。