二年前ぐらいに材料を調達したが、色々と忙しく形にできなかった奴にやっと取り掛かれた。
コイツは素材むき出しでいける鉄。
このフレームはクロモリではなく、CORTEN STEEL(対候性鋼)。
鉄なので当然錆びる。
しかし、錆の性質が緻密で保護性があり非常に朽ちにくい。
つまり、クリア塗装さえ不要なローフィニッシュが実現できる鉄。
橋桁や建築でよく用いられる鉄。
供給されている素材は基本的に建築用の鋼材でパイプ径等の材料規格が非常に少なく、入手できる素材がかなり限られる。
自転車用としては度が過ぎる肉厚で、素材そのままでは使えず加工しないと重すぎる。
クロモリほどの強度は無いので、ある程度肉厚にして強度を確保する。
少しでも軽量化をすべく、継ぎ合わせを駆使してバデッドを手作業で作り上げる。
当然ながら塗装はしないので、継ぎ目には真鍮ロウのアクセントを。
トップチューブは跨った際に錆が付着しないようにステンレスを使用。
経年変化すれば、鉄錆の茶色、ステンレスのシルバー、真鍮ロウの金色が趣深くなるだろう。
成るべくして成った構造がそのままデザインとなる、目指す方向性が強く示せるフレーム。
ダボ類を作る材料が足りず今のところ八部組み、形にしてもこいつの本領発揮はびっしりと緻密な錆層を形成してから。
完成と経年変化が楽しみで仕方ない。
4月6日、7日に谷中での受注会を予定してます。
それまでにはしっかりと完成車として組み上げてお披露目を予定してます。
まだ未知数が多い素材、自ら乗り諸々と確かめてからのオーダー開始となります。
錆はもう気にすることは無い。
もはや友達、それが保護層。
錆が味わい深い、無骨でうちらしい素材となりそうです。
どんどん挑戦していきます、まだまだ考えはある。