一度ご依頼お受けしてから足繁く通ってくださるようになった常連H氏。
きっとうちの事をがっつり信頼してくれている一人でしょう。
いつも期待してくれているので応えさせてもらってます。
この方とは最近如何に力を抜いた組み方をするか、ということをよく語らいあってます。
写真の自転車は少し力の入っていた名残もありますが、全体的に生活感滲み出る仕様。
自分も10年ぐらい前から力の抜けた組み方が好みというか、高級パーツでガチガチに固めるような組み方をしなくなりました。
必要なものだけきっちり取り込み、プロレーサーでもない自分には軽さなどは程々で良い事に気付く。
フレームや取り入れたいパーツなどの大事な所だけに凝って、あとは馴らす感じ。
パーツが主張するような組み方でなく、バラバラな構成でも良いから個々に意味のある全体が調和するような組み方。
ひたすらにシンプルでロゴ無し、なんとなく質が良いような悪くないぐらいで良い。
なんでもないパーツを深遠なるものに見せるような持って行き方。
これがなんとも難しく、実に面白い。経験とセンスが問われます。
そんなこんなでお受けしたOLDTREKのカスタム。
フレームの無骨な作りがなんとも秀逸。
シンプルでさりげなく扱いやすそう。
自分も一押しのシュミット。
さっきと矛盾してるかのごとく高級パーツですが、兎に角ダイナモ用のライトは格好良いと思えるものが少なすぎて選択肢が無い。
自分も愛用のお高いライトですが、使ってみると納得の性能でコイツは外せない。
光量、蓄電性能、使い勝手等々かなり秀逸、開発に苦労と技術が垣間見え高いなどと思うのが申し訳ない。
一般的な砲弾型ライトより小ぶりで、ルックスも申し分無し。
価格だけだと引かれるものですが、ここはコストを投じたい場所。
ハブはシマノでコストダウン、さりげなさも良し。
折角こんなライトつけてコードがグルグル巻きでは台無し。
内装工作をすると神々しさもにわかに香り全体との調和がとれないと考え、外装のコードガイドと少し無骨でしっかりしたライト台座を設置。
少し力を抜いて全体と馴染ませるように必要な所は程よく凝る、そんな一例。
美麗の仕事だけが良い仕事でない。
ここも改造したシートクランプ。
元はクイックレバー方式、無骨さの名残で少々太めなM8ボルト止め。
ネジは旋盤加工で頭を仕上げ、無骨な中にもちょっとした美を。
雰囲気変えない程度に少し研磨もさせてもらった。
自転車は効率よく移動する道具であって美術品でない。
こんな理念を持ってます。
何を以て美しいとするかは人其々ですが、ルックス造形先行でなく各部にライフスタイルが感じられるような仕様に心惹かれリアリティがあると考えます。
しかし所有欲を満たすにはルックスもかなり重要項目なのは理解しているので、シンプルかつ素材感際立つような仕上げでそれを追求しています。
少し力抜いたものを本気で形にする工房です。
本気ながら作るときも乗るときもリラックスは大事です。