個々の究極形。

 

 

 

 

 

面白い一台を先ほど納車。

 

作り込みは語るよりも感じていただくものだと考えてまして、最近の自転車紹介は写真のみが多いですが、たまにはと今回は少し解説付で。

すべて語ると長くなりすぎるので少し割愛して紹介します。

 

 

 

 

 

 

 

メインコンポに7700-7800系のDURA-ACEを用いて日常使用市街地用の自転車を作りたいとご依頼相談。

内容はパパチャリ的なゆったり仕様。

 

 

DURA-ACEは当たり前ながらレーシング用のコンポ。

市街地使用でしかも低速域ではその素晴らしい性能は活かし難く、各相性問題も良くなかったりする。

内装ハブやグレードを落としたコンポのほうが諸々の効率が良いという事を、ご依頼相談時に細かく説明もさせてもらってご理解も頂戴した。

それでもこのオーナーさんのDURA-ACEを使いたいという信念は揺るがない。

 

 

 

こういった類のご要望は形にするのが大変な手間や経験が必要だという事は、今までオーダー製作をさせてもらって強く肌身で感じています。

レース用とは少々違う性質で縛りなくご要望も幅広い市街地用自転車、これがまた難しい。

 

相談の段階で段取り構築など色々頭を駆け巡ります。

手間のかかるものや相性問題のあるものを出来ないというのは簡単、出来ないと伝えるのは自分の限界値に自ら見切りをつけていることにもなります。

なんでも出来るわけでないですが、出来そうな事には立ち向かっていきたい。

やる前に出来ないというのと、実際に立ち向かって駄目だったとでは意味合いがまるで違います。

 

 

品質最高のDURA-ACEを使用問題なく組み込むのと、愛国心からか極力日本製のパーツを用いて欲しいというレギュレーション。

 

こうやって頼ってくださるのはコイツなら形にしてくれるだろうという信頼。

信頼には心意気でお応えするのが我が信念。

 

 

 

 

Mr.SBY's Urban bike

 

 

こうして出来上がった一台です。

 

完成して写真におさめてしまえばあっけないものですが、今までの経験などを総動員させて出来た一台。

 

 

20インチホイールを使ったのはチャイルドシート乗せた際などに有効となる低床重心のためや諸々。

跨ぎやすくして欲しいというご要望もあったので、トップチューブの下がったスタッガードフレームに。

長く変わっていないダイヤモンドフレーム形状を崩すと少々剛性低下しますが、ホイール径小さく設定すると少し抑制できます。

 

 

 

 

 

Mr.SBY's Urban bike

 

 

Mr.SBY's Urban bike 

 

 

チャイルドシートのためにも一苦労。

大事なお子様を乗せるわけで、停める際も安定感が欲しいとご要望。

お子様が育ったら両立スタンドをセンタースタンドに変え、シートを外したいとの事。

 

なかなか難しいご要望。

相談の結果、汎用品の両立スタンドを付けることに。

両立スタンドは通常ハブシャフトのみの一点支持、あとはエンド輪郭に噛み合わさることで動作するという代物です。

基本的にママチャリ用のパーツですから、ママチャリのような色気無い角ばった大振りエンドにしないとカッチリとうまく付かない。

一からすべて作るのも凝ったものになり過ぎたり、コストも増大。

 

試行錯誤の末に、専用ネジ穴を設置して片方3点支持にすることで動作感も安定のガッチリ感。

エンド支持ではなくネジ止めなので、スタンド外してもエンド形状はしっかりハンドメイドの流麗感。

手間の内容も甚大なものにならないのでコストも下がる。

すべてうまく解決。

 

 

 

 

 

 

Mr.SBY's Urban bike

 

 

ご存知の方もいらっしゃるかと思いますが、小径車にフロントディレイラーを問題なく動作させるには少々工夫が要ります。

ただつけようとするとディレイラーのプレート下部がチェーンと干渉し、チェーンがへの字になるのが普通です。

普通には付かない、フロントシングルに、だとか特殊パーツでなんとかしようとかが業界の定石。

この方のDURAを普通に付けたいという熱いご要望からは逃げません。

 

ジオメトリーを工夫すると何事も無かったかのように付きます。

撮影で誤魔化す事などせず写真は勿論、一番チェーンが下部に近付くインナーxハイに入れている状態です。

動作確認も勿論していますがバッチリ安定しています。

これで取り入れたジオメトリーも日常市街地用として相性良くなっています。

 

スタッガード形状の接合部もギリギリ位置でまとめました。

ここの接合部は強度と肉厚が必要でラグ形状のかぶせ補強を入れるのが定石。

うちが行った工作はパイプ外径を増して継ぎ合わせ、それで出来る肉厚増加で強度を確保し、付随して増した外径もフロントディレイラーバンド径に適合させるためにも都合が良い。

 

定石を鵜呑みにせず、持てる英知を絞れば様々な道はあります。

 

市街地用自転車は大得意ですが、こういったものの積み重ねで組み上げます。

 

 

 

 

Mr.SBY's Urban bike

 

 

 

 

 

 

 

Mr.SBY's Urban bike

 

 

 

その他各部寸法値の構築法やら使い勝手や乗り味などなど数多薀蓄はありますが割愛します。

 

しっかり考え設計しきちんと練り上げ、なんとなくまとめて自然なおさまりと雰囲気に持っていく。

いつも気を付けている重要項目です。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

Mr.SBY's Urban bike

 

 

 

納車時はチャイルドシートやフロントラック等を付けたこの状態。

生活感のリアリティがあってとても良し。

取り付けたパーツなどを見ながら各部よくきまったと納得しています。

 

このオーナーさんならではの究極形、なんとか出来上がり気に入っていただけた模様です。

作らせていただき有難うございました。

 

 

 

 

 

Rew10では色々なご要望を形にさせていただいております。

今回紹介させてもらった一台の他も、すべてのフレームが様々なご要望と考えの基に出来上がっています。

なんでも出来るわけではありませんが出来る限りは尽くさせてもらっております。

 

 

機能美追従の道具を作るRew10works。

何かあれば是非ご相談ください。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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