最近は展示会などもありグッズ関連の紹介が多いですが、本業は自転車製作です。
グッズ紹介が多くとも本業としてきちんとやっておりますのでご安心ください。
今回は一挙に2台紹介します。
一台目はけっこう前に納車して写真を撮り忘れていた一台。
見せに来てくださったので写真も撮れました。
ポールのエンドに特殊工作を施し、極力自然な感じでベルトドライブ対応にしました。
フレーム作るときからベルトにするとわかっているならば、エンド付近に分割機構のネジを仕込むのが好みです。
堅牢かつシンプルになるように気を付けました。
特殊な真鍮ワッシャーはご依頼の感謝サービス品、細部はお任せくださったのでうちらしく作らせていただきました。
自分も使っていますが、ベルトドライブの快適性も感じていただけた模様。
内装ハブやシングル派にはかなり効果的なパーツです。
このお客様は地方にご在住ですが、東京出張も多いらしいので輪行すればこちらでの機動力は相当なもの。
お子さんとの旅も視野に入れ、輪行時に小さくたためて効果的なデモンタブルです。
ダウンチューブとシートクランプ付近でフレームが2つに割れます。
六角レンチで分割できるようにし、ここも堅牢さは大事に考えしっかり作らせていただきました。
この自転車から香る一見飾りっ気ない道具感が大好物であります。
飾りっ気ではなく、ライフスタイルに順応させた一台です。
たくさん会話してジオメトリーや仕様を練り上げました。
うちの自転車は採寸だけでは生まれません。
会話して互いに信頼しないと気の通ったフレームなど出来ません。
メンタルのみならずしっかり培った英知を生かしましたので、色々効果的に現れかなりお気に召していただけたご様子。
職人冥利に尽きます、この瞬間が一番うれしい。
いつか聞けるであろう、お子さまとの旅行記録のお話を楽しみにしています。
お子さまが自転車を引き継いでくれて、整備などでお持ちくださるのも夢見ておきます。
その頃まで職人で在れるように頑張ります。
続きまして、以前もオーダーくださった方、二台目のリピートオーダーです。
一台目 とは使用用途や雰囲気を一新しておりますが、実にこの人らしさが出た一台に仕上がってます。
このお客様は若い頃からビルダーさんの作ったフレームが好きなようで、今まで色々なビルダーさんでお願いしてきた経験をお持ちです。
ビルダー好きの流れで古いヴィンテージチューブセットをお持ちだったので、それを材料に組み上げさせてもらいました。
軽いフレームはもう一通り通ってきた方、今回のご要望はクロモリらしさを大事にして重量を削ぎ過ぎずタフに仕上げる方向。
前回の一台目は最強レベルなので、今回はロードの性質範囲内の強め中程度。
ご要望に沿えるような少々肉厚で幸い良いチューブでした。
お持ち込みのヘッドチューブはラグド用の少し薄いものだったので、必要な補強を入れました。
折角ラグレスで段差なく構築しているので、補強も滑らかに円やかに仕上げています。
チューブはヴィンテージでもヴィンテージに固執したフレームではなく、使い勝手を考え柔軟に現代的要素も取り入れても良いとの事だったので、うちが一押しの小ぶりストレートドロップエンドにさせてもらいました。
通常ならばカンパなどの逆爪を持ってくるのが定石かもしれませんが、あくまで道具としての使い勝手や耐久性向上を取り入れた結果です。
ハンガーエンドが曲がっても曲げ直せるし、折れても交換可能。
主張は少ないエンドだけども、うちの個性はこれでも良し。
今回はフレームのみ納車で組み付けはご自身でされましたが、新旧パーツを組み合わせるのが本当にお上手なお客様です。
当時の最上級レースグレードも今となっては日常使いに調子良いパーツになっていたりします。
解説は割愛しますが、ゆるくもありながらそれぞれの意図がきちんと理解できる面白い組み方。
柔軟かつ知識も経験もあるので意味のある良い気の抜き方ができるのでしょう。
シンプルなパーツばかりで構成されているので一見個性に欠けるようですが、実は個性の塊な良い一台です。
新ヘッドバッジはクイルステムにも良く似合います。
真鍮無垢ですので経年変化をお楽しみください。
こちらのお客様も乗り味なども含め総合的に喜んでいただけて本当に嬉しいです。
リピートオーダーというのは、ただまた頼みたいという証拠なのでこれほど光栄なことはありません。
会話して会話して、何をお求めかしっかりと汲み取る。
しっかり耳を傾け、書面やメールや電話などでは決して伝える事が出来ない細かな事柄を拾っていく。
採寸だけでは決して出すことができない細かな作り込みが自転車の仕上がりを左右してきます。
お客様も自分も楽しく会話できれば、信頼を元にさらに気の通った自転車が出来ると信じています。
お客様がいるからこそ、乗り手がいるからこそ、自転車作りが面白いと感じますし難しさも痛感します。
積み重ねた経験と技術で、お客様のご要望に沿いつつもなんとか個性を出せるようになってきました。
ブログでは伝わらないような凄い細かな箇所ですが、実際手にしていただいた方でしたら感じていただけていると思います。
これからも信頼を裏切らないように励みます。
良いモノ作るというのは、そのご依頼主様に喜んでいただくだけでなく、今までお作り頂いたお客様のためにも追求せねばなりません。
評判下がろうものなら今までのお客様もきっと悲しみます。
気が抜けない製作の日々、大変ですが登り甲斐があります。