在庫切れがしばらく続いておりましたので、久々にベルト製作しました。
普段は自転車フレームビルドを生業とする職人が作るベルト、という少し変わった背景です。
素材そのものの味わいというのが好きなので、革モノもその一つとして好んで作っております。
職人が腰に巻く仕事道具としてのワークベルトをイメージしてというか、実際に職人である自分が使うために生み出したものであります。
無骨な道具感を求めてますので、コバを磨きこむような綺麗な感じの仕上げなどはあえてしていないようなベルトです。
用いる革も銀面が綺麗に整った革でなく、あえてキメの荒い革を使用しています。
独特のシボやシワなどがあり、箇所によっては床面やコバの毛羽立ちもある味わい深い革です。
ベルト幅は30㎜、50㎜などですといかにも屈強すぎるので、あえて幅はさりげない設定にしてます。
肉厚に少しばらつきありますが平均5㎜前後の肉厚がある革を使っております。
バックル部付近以外は肉厚漉きもしていない仕様、素材そのままの味わいを残しています。
その分タフネスですが、以外にしなやかで固いのは最初だけでその後は非常にしなやかです。
経年変化のサンプルを見たいとしばしばお問い合わせいただきますので、紹介しておきます。
いずれも写真の上のベルトが私物として一年以上使用したもの、下が新品です。
油や鉄粉にまみれた手でも汚れが気にならないよう、黒はがっつり仕事用。
一年以上、実作業で毎日使ってきました。
擦れて光沢がでて、シワも浮き出てきて良い雰囲気になってきました。
すっかりしなやかですがいまだにヘタリはなく、銀面の剥げもほぼ無し、まだまだ長く使えます。
こちらはナチュラル。
色の特性上、仕事で使うとすぐに黒くなってしまうので、主にプライベートや通勤でずっと使い続けてきました。
黒とは全く変わって色がかなり濃くなってきてます。
シワも光沢も深みも増して、雰囲気はかなり良くなってきてます。
年月を重ねるほどに、今後もっと色濃くなっていくことでしょう。
もっと長くがっつり使い込んだ行く末はきっと深いこげ茶です。
写真のブラックとナチュラルのサンプルはともに新品時から一度もオイル入れなどのメンテナンスは行っていない状態です。
銀面のかすれも少なくまだ潤ってるので、革の軟化を防ぐためにいまだノーメンテ。
かすれてきたらオイルアップ等しますが、職人の道具的に考えてますので頻繁なメンテが必要でないのも狙い通りな感じです。
真鍮の金具も良い色調に育ってます。
ただの金色でなく鈍く深い金です。
鉄工職人らしい金属感を追求した槌目付銅リベットも良い雰囲気。
金具もレザーものもこういった経年変化が楽しいですね。
こちらは新色のハンドフィニッシュブラウン。
ナチュラルレザーに当工房にて染料をのせたものになります。
求める色調に染料を調色し、何本か試しに実際の色調を試しました。
どれも独特のムラ感があって良い雰囲気。
奥まで浸透させるような手法ではないので、使い込むと染料が少しかすれつつも革の色も濃くなっていくかと思います。
今現在試作品の一つを自ら試しつつ愛用してますので、今後の正式製品版はある程度経年の質感変化などを見つつ製法も詰めてから販売開始致します。
少し時間はかかりますが、正式製品版はやはり試してから確実なものをお売りするのが当工房の信条です。
正式製品版でない今回の試作と、B品については24日のブランチにてアウトレットとして少し安くお売りします。
ブラックとナチュラルはオンラインストアへアップ済みです。
サイズも揃ってますので、気にしてくださっていた方はこの機会に是非どうぞ。
良き常連さんからの番外編カスタムオーダー品。
気にいって日々愛でてもらい、すっかり良い味わいに。
当工房で出来る技術などでしたらこんなご依頼もお受けできます。
出来る範囲の事でしたら特殊加工も燃えるタイプですので、思う節がある方は相談してみてください。