2017年6月アーカイブ
告知遅れてしまい申し訳ありません。
恒例イベントのブランチは今月25日になります。
都合により今回はコナクックお休みです。
替わりにチャリンコーヒーのトミーがホットサンドを用意してくれる予定です。
普段は予約制の工房ですが、このイベントの日はご予約不要の交流会です。
製作や改造のご相談は勿論、なんとなく行ってみたいなどの理由でも大歓迎です。
皆様のご来場をお待ちしております。
当工房で得意な分野、そのままの質感でいける金属を用いた産物。
人工的に作り出した加工ではなくリアルに生成された経年の変化は格別です。
以前紹介した鉄ベースのダマスカス鋼バングル。
数か月使用して黒みが増してきました。
これぞ鉄の色、まさに黒鉄。
比較的擦れやすい開口部付近は鈍い銀色、これも渋い。
我が愛車も初期と比べるとここまで育ちました。
あらためて写真を見返すと自分でも変化に驚きます。
一日の間で2時間程度乗って使用している間もフレームを触っているわけでないので、常々触れて擦れるバングルとは違い茶色味が強い。
最初期は銀、粒々の赤錆、びっしり赤錆、などの状態を経て変化。
錆が全域に行き渡ってから現在は至るまで錆の色が濃くなってきてます。
まだまだ未完のこのフレームに浪漫を感じます。
真鍮10ロゴは構造として組み込んでありますので、無論消えることなどなく同じく変化を続けます。
錆加工では無し得ない、本物の錆の質感と日々の変化。
このように錆を嗜めるのは耐候性鋼を用いたこのフレームの特権。
普段は忌々しい錆、このフレームならばもはや愛おしい存在。
普通のクロモリフレームは未塗装だと錆びて朽ちますのでマネしないでくださいね。
真鍮のステムとヘッドパーツ、砲金のスペーサーもフレームと同時に作ったもの。
当然真鍮メッキなどではなくこちらもリアルな金属の質感が使っていて楽しいです。
こちらはひっそりゆっくり進めている天天天のヘッドキャップサンプル。
強度性質が高い特殊な銅を用いて当工房で削ったサンプルですが、銅は変化が非常に早い。
使い始めてからまだ間もないですが、すっかり茶ずんでいます。
ここまで変化する間は色の変化が非常に面白い。
綺麗な銅色から、青味が差してきたりしながら茶色くなってます。
製作段階で磨き上げましたので、光沢はある奥ゆかしい茶色。
銅もこれから力を入れていきたい素材です。
メッキや色付けや錆加工でも素晴らしい出来栄えのものが多くありますが、経年劣化ではなく経年変化を楽しむには本物の無垢材には及びません。
金属の質感も人工的に作ったものよりリアルに生成されたものに趣を感じます。
塗装やメッキなどのようにコーティングが剥げるなんて事はコーティング面自体がない無垢材には絶対に在り得ないので、構造体として本体が存在している以上は変化も永続的に楽しめます。
無論いくら変化しようが使い込もうが、再塗装や再メッキなんてことも必要無し。
今回紹介した商品も自分が使用した一例に過ぎませんので、ライフスタイルや使い方やお手入れ方法などによって変わります。
人によって異なる質感も、こういった素材特有の面白い性質です。
今回紹介した私物サンプルは、基本的に普通に使って特に磨きもせずに使っているものです。
フレームやパーツだけ汚れ落とす程度にたまに乾拭きしているだけで、バングルなどは全く磨かずただ使っているだけです。
味わいやムラが好きでこのような金属や技法を用いてますので、磨きすぎると味わいがなくなりますし手間もかからず楽です。
REW10の商品はタフネスで永く使える耐久性を備えたものが多く、終わることの無い経年変化とともに末永く楽しんでお使いいただければ幸いでございます。
うちの得意分野として今後もこういった素材の探究をしていく所存です。
当工房でも用いている製法、フレームビルドで一般的なロウ付けという溶接技法。
どちらかといえば古き良きオールドスクールな技法です。
ろう接と溶接とは似て非なるものではありますが、わかりやすく説明するために溶接の一つとして記載してます。
ロウ付けにはフラックスという溶剤が必要不可欠です。
溶接中の酸化を防止したり、洗浄作用があったり、ロウ材の流動性を確保できる、これもすべてフラックスのおかげ。
もしフラックスを全く使わずにロウ付けしようものなら、酸化膜だらけの真っ黒い溶接になり、ロウがしっかり行き渡っていない品質低下が著しいロウ付けになってしまいます。
写真のクラウンのフォークブレードをこれから差し込む部分付近は溶接前なのでフラックスを塗っていない箇所。
照りのない部分の先端付近がフラックス未塗布部分となります。
フラックスが塗られた箇所と塗られていない箇所は母材のクラウンが色が分かれていて、フラックスを塗布してある箇所の銀色っぽくなっているのが溶接中に欠かせない酸化防止&洗浄作用というやつです。
うちで用いるフラックスは、火を入れるロウ付け前はペースト状か粉末。
溶接中に熱が加わると徐々に粘りのある綺麗な水飴状に変化。
溶接後に冷めていくとガラス質に固まります。
フラックスで湿潤かつ照りのあるぬれ状態に保ちつつ適切な箇所に熱を入れてあげれば、しっかりとロウが流動したロウ付けが出来ます。
ロウ材は片側から挿し、その逆側へ沁みだしてくればしっかり行き渡っているサインの一つ。
逆に低温なら当然焦げませんがロウ材が溶けない温度なので、ぬる過ぎず熱過ぎずの美味しい火加減というのが必要になります。
上手くいったロウ付けはフラックスが綺麗に透き通っていたり照りがあります。
フラックスの量が不適切であったり炙り過ぎて溶接中の温度管理が出来ていないと、フラックスは活性温度を保てず、乾いたような質感で黒く焦げてしまったりします。
今回は真鍮ロウですが、銀ロウなど数種類使い分けており、フラックスや途中工程や仕上がりも異なります。
フラックスは溶接後に鉄に強く付着します。
溶接箇所付近の全域に付着し手作業で落とすにはかなり難儀しますので、洗浄液に浸けてフラックス残渣をおとします。
浸けることによって外部のみならず、パイプ内部の両方のフラックス残渣を洗浄できます。
フラックスは溶接の最中にしか必要にしない溶剤なので、溶接が終わった後は全く無用であっても良い事ないので綺麗に除去する必要があります。
綺麗な状態に保たれたフラックスはその後の洗浄が短時間かつ非常にスムーズに終わりますが、焦げてしまったフラックスは洗浄液ではかなり落ちにくい性質となります。
上手くいけば洗浄液に浸している間に、他の仕事をしたり一息の休憩ついていたりすればもう綺麗さっぱり。
焦がすと焦げ跡を取る作業工程が増えることになり、多少なりとも焦げもろとも余計に下地を削ったりキズつけてしまうことにもつながります。
フラックスがさっぱりと無くなったフレームは仕上げが非常にやり易い。
ただでさえ溶接後のラグの仕上げやフィレット研磨は骨が折れるので、少しでも綺麗な状態で溶接を終えるのは非常に大事。
ロウ付けのフレームは溶接後に仕上げをするので、このような状態は作り手でないと目の当たりにしにくいものです。
見えない箇所だからと手を抜かず丁寧に工程を積み上げていけば、その後の仕事をよりスムーズにしてくれて仕上がりの品質も向上します。
これらは普段から身体に沁み付いている一工程ですが、文章で語れる事はやっている事の氷山の一角に過ぎません。
ほんのごく一部のさわり程度を少し書いたつもりぐらいでも今回のような文章です。
溶接に限らずモノ作りというやつは、こういった事や口頭や文章では伝えきれぬ事柄ばかり。
より良く気に入っていただき安心してお使いいただけるよう、見えない細かい事の積み重ねが重要です。
プロの端くれとしてどうやって旨味を引き出すか、もっともっと勉強せねばなりませんね。
直前の告知になって申し訳ございませんが、都合により本来定休日の明日3日は営業致します。
振り替えで4日の日曜日は休業とさせていただきます。
明日は先日の告知のイベントが下北沢で開催されます。
作らせてもらったBBQスモーカーが稼働します。
自分もまだ味わったことがなく楽しみで仕方ありません。
美味しいとの噂ですので、是非会場でご賞味ください。
REW10のキーフックなどをこのイベントのために作りましたので会場で販売しております。
その他Tシャツなどのアパレルなども並び、FATWRENCH店主のセッキー君が対応してくれますので是非どうぞ。
工房は夕方で閉めてイベントに顔出しますので、工房営業は午前中~17時頃までとなります。