この自転車のお客様、其の壱の続きです。
続きまして承ったのはこのバネ。
わからない方には何この余計なバネ?みたいなものでしょう。
ある程度以上大きいフロントキャリアやバッグ類など付けてらっしゃる方ならよくわかると思いますが、キャリアの重みで駐輪時に勝手にハンドルクルッと症状を防げる優れものです。
この症状がなかなか煩わしいもので、時にはクルッと回った惰性で自転車が倒れます。
このバネを仕込むと張力でハンドルが常に前を向こうとしてくれます。
走行時はステアリングダンパーのような効果もあり、キャリア付きのハンドリングを少し向上させてくれます。
重たい荷物を載せるとバネの効果に限界はありますが、このバネがあるとなしではかなり快適性に差があります。
市販品でもこの手のスタビライザーはありますが、プラスチックのバンドなどで留める事になり、格好良いものではありません。
バンド無しで取り付け出来るように専用の台座を配し、錆に強いステンレスのバネと小物を付け、真鍮ナットで留めれば雰囲気良い機械感。
実用性も確保しつつ趣向性もだした仕様です。
あとセンタースタンド用板ブリッジも取り付けております。
通常センタースタンドはこんなスマートには取り付けられず、アルミのゴツい塊で上下からパイプにプレッシャーをかけて留めます。
これによってチェーンステーは変形し、塗装にもキズがつきます。
破損に至るような事が必ず起こるという事ではありませんが、フレームにとって良い事は全くありません。
それを良い留め方に変換するのがこの写真の板ブリッジ。
センタースタンド本体の取付面の多くが平面になっていて、本体とブリッジの平面がかみ合います。
ブリッジは下を向いたコの字になっているので、ズレて空転する事もありません。
市販品でも板ブリッジはしばしばみますが、強くない手法で付けられているものもあります。
意外にこのブリッジには負荷がかかるので、板ブリッジの肉厚が薄すぎるとブリッジが歪みます。
スタンドはレーシングパーツでないので、変に軽量化しようとするとかえって良くないです。
重厚でタフな肉厚を確保すると耐久性が上がります。
軽量化や速い軽いといった性能に傾きがちの自転車業界ですが、そうすれば良いってものばかりでない、その一例がここです。
レーシング車でないものにまでレーシングのような思考や仕様は持ち込む事は有効ではありません。
軽量化等をまるで考えないという事ではなく、日常使用においては使い勝手と耐久性が優先です。
それらが十分に確保できたその次に出来る範囲の軽量化を施すと実に良いです。
公道はレース会場でもスポーツの場でもないので、車で言ったところの乗用車的仕様が一番です。
それと、板ブリッジは下側のみ溶接されているものもしばしば見かけます。
下側のみだと溶接部が途切れたところに応力がかかり、破損に至る事も少なくなく、実際に修理依頼もあります。
上部は付けたいところが谷になってしまうので溶接トーチが非常に入りにくく、そうなるのも頷けはしますが、確かな耐久性を確保するならやはり上側もしっかり付けたいところです。
勿論うちで施工したものはすべて途切れる事なく全周溶接しており堅牢です。
日常使用や街乗りといったゆるいスタイルでも本気で考え作り込めば、快適性や耐久性がかなり向上します。
使いやすいものは飽きずに永く付き合えます。
各種お困りの方、遠慮なくご相談ください。
可能であれば何でも承っております。