シートポストやクイルステムが固着してしまったのですが、出来ますか?いくらですか?
というお問い合わせは数多くいただきます。
結論から簡潔に申しますと返答は以下です。
概ねすべて抜けます。
いくらかはやってみないとわかりません。
お問い合わせいただいても、実際お越しいただいても概ね返答はこうなります。
固着したものを引っこ抜く、文章で書くとなんとも簡単そうで問題なくできそうですが、固着の度合いと施工内容によって価格は大きく変わります。
一律価格などでは出来ない仕事内容です。
固着を抜くにはどれほど強烈に固着していて、固着してる箇所がどこで、どういった施工までして進めて良いのか、これらで手間が大きく変わります。
REW10の仕事はすべてかかった手間を時間換算するのと、かかった材料費の合計で詳しい価格がわかります。
色々な仕事をやらせていただいた経験則に基づいてのある程度の予測はできますが、ワタクシめは魔法使いでもなければ透視能力のある超能力者でもありません。
どれほどの度合いで固着しているかは見ただけではわかるものではなく、実際に手を付けてみないとわかりません。
炙って抜くなんて手法もありますが、塗装焼いて良いのか良くないのかによっても大きく作業内容が異なります。
シートポスト固着を塗装傷つけないで抜いてくれとなると、自在リーマーで少しずつ削っていくみたいな作業になりますが、この作業には魔が潜んでおりましてとてつもない手間と筋力も消費します。
この作業は固くて分厚いシートポストなんかですとそれはもうきつい作業になります。
削り取る場合は、固着具合、ポストの素材、肉厚、差し込み長さ、こういった条件で作業の手間がかなり変動します。
炙れば概ねの範囲内で済む事は多いですが、その見返りに塗装がガッツリ剥げます。
実際手を付けてみるといとも簡単に抜けてしまう事例も稀にありますが、そうなるとかなり安い工賃です。
一律工賃でわかりやすい返答をしたいところではありますが、このようにやってみないとわからないという仕事なわけで、これを一律工賃でやろうとするならば平均値を取る事になります。
いとも簡単に済んでしまえばものの数秒でもかなり高い工賃になりお客様に非常に申し訳ない事になります。
とてつもなく難物な場合はこちらのいただける工賃がかなり低いものとなり泣きたくなります。
公平にすべてかかった手間に対して明朗会計にしたいので、やってみて抜けたまでの工賃か、いくらぐらいまでの工賃ならOKとお伝えいただきそれ以上になりそうな感触なら深追いせず工賃無しで返却という形をとらせていただいてます。
当工房は成功報酬としていつもお代をいただいてますので、よほど特殊な案件でもなければ抜けなければ工賃はいただきません。
どんなものでも概ね抜けはしますが、度合いと手法で大きく変わる内容が固着抜きです。
今までの工賃振り幅がどんなものであったかというと1000~70000円ぐらいまでの落差があります。
炙ってOKならおおよそ20000円以内ぐらいで済む事が多いです。
今回ご依頼いただいたのがステムの固着抜き。
お客様のほうで切られたこの状態で持ち込まれてます。
実際どれほどの度合いなのか、お客様の目の前で手始めに度合いを確かめつつ行う作業を見ていただきました。
シートポスト固着では出来ない作業ですが、クラウン側から鉄の丸棒を入れて玄翁でひっぱたきます。
軽度~中程度までならこれで抜けます。
自分も余剰な過大請求などしたくないので、実際に見ていただく事で見えない度合いを目の当たりにしてもらってます。
こうする事で今回は比較的重度であるとという確たる証拠となります。
ここで済んだのなら工賃はかなり安いです。
クラウン側からどの辺りでステムが固まってるかは視認出来るので、幸いフォークコラムなのでおそらく今回は塗装には影響ないでしょうと伝え、今回炙って抜く事になりました。
でもこれも炙ってみないと塗装がどう焼けるかなど保証出来るものではないので、変色や焼けてしまう事もリスクとしてご了承いただかないと施工は出来ません。
無事抜いて、ネジを整え、内径も研磨すると今回はこうなりました。
あくまで一例にすぎませんので必ずこうなりますという事ではありません。
ステムよりもシートポスト固着のほうが厄介な事が多いです。
BB側からひっぱたけませんし、炙ると広範囲が焼けます。
固着は不可抗力ではなく人災のようなものです。
一番は雨ざらし管理で引き起こされます。
雨の日に乗る程度なら風と振動で水が切れるので全然良いのですが、雨天時にそのまま保管はフレーム内部やパーツの劣化と錆を進行させるのでかなり自転車にとって良くないです。
雨がかかりにくいような軒下や渡り廊下や外階段やカーポートの下、これらも屋内に比べると意外に良くないです。
自転車カバーみたいなのを被せて屋外に保管も少し注意で、特に雨天時や梅雨時は中がかなり蒸れますのであまり良くないです。
自転車の屋外保管はどうやっても各部の劣化を呼び込みます。
自転車の保管は上記軒下などでなく完全な屋内が良いです。
人が快適な空間で家族のように一緒に過ごしてあげると自転車も喜びます。
大事にされてるなら屋内に置き場所を確保してあげてください。
雨ざらしに続いて厄介なのは油分切れです。
両方で長期となるともう大変です。
固着は適切な管理をすれば必ず防げます。
管理を怠ると固着が生じます。
愛車の管理、気を付けてくださいね。
ハッと思ってしまった方、すぐに雨ざらしをやめ場所変えるか、すぐにシートポストを抜いてグリスを補給してください。
残念ながら固まってしまってたら...REW10にご一報を。
よくご自身で深追いしシートポストの突き出し部分を根本でカットしてしまう方も多いですが、余計に抜きにくくなるだけで工賃上がりますので、深追いはせずそのままお持ちください。
深追いされるほどに抜くのが厄介になりますのでご注意を。
なんにせよ早いほうが良いです。
ぜひ愛車を大事になさってください。