2019年7月アーカイブ

営業案内&二代目隆天(仮)の愛車。

 

 

 

 

まず営業案内ですが、明日31日は勝手ながら臨時休業となります。

振替で本来土曜日定休である8月3日は営業致します。

3日はご遠方のお客様ご予約都合で開店時間がいつもより遅く、14時~20時の営業となります。

その他は平常通りの営業となります、4日日曜日などは営業しております。

 

 

 

 

 

更新がかなり出来ておらず申し訳ありません。 

フレーム製作は相変わらず頑張っておりますが、全業務一人ゆえに忙しい時ほど更新に割く余力がないです。

更新が少ないと動きがなさそうに思われてしまうかもしれませんが、たくさんの製作仕事をしております。

 

最近はなかなか手間のかかる大作製作続きでした。

これら大作含め最近作った自転車はお客様のご意向やその他諸々の訳あってすべて非公開となってます。

ゆえに数少ない更新を待ってくださっている方々に紹介できるものが少なく申し訳ないです。

 

 

 

あまり更新乏しくても申し訳ないので、組み上がりを紹介していなかった一台と背景でも紹介しましょう。

我が息子である現在小学生の二代目隆天(仮)の愛車です。

 

 

二代目隆天(仮)の愛車

 

 

 

 

子ども用の自転車というのは洋服などと同じく使える期間短く、通常だと子どもの成長に合わせて数年に一度程度はフレームごとサイズアップをし続けなくてはならない。

新しいものを用意し続け、乗り終わったものが出てくるなんて事はしたくなく、子ども用でも長く使えるものが良い。

それならば選択肢は必然ともなってきて、BMXなら成長してもサイズ変える事無くずっと乗れる。

変に子ども用に寄せた設計だと乗れる期間が短いので、基本設計はまるで子ども用でない通常のBMXに。

大きくなったら最低限ハンドルとシートポストを変えれば、大人になっても十分使える。

 

上のような考えは大前提であったので、『20インチに乗れるまではお前の自転車は作らん。』と息子に伝えてあった。

幼い彼は父の真意など当然理解できず焦らされてるぐらいに感じてたかもしれないが、いざギリギリ乗れるその背丈まで成長したところで作ってあげたのがこのBMX。

 

 

一応彼からのオーダーBMXという体の一台、作る前に軽く要望聞いていく。

自転車の事など詳しくわかってないので構造の大半はこちらで考えるが、見た目だけでも彼の好みを反映しようかと色々提案してくとこの親父の愛車と同じような感じが良いとの事。

結果、自分の愛車と同じ耐候性鋼材を用いたBMXに。

 

 

自転車好きの親は子どもの自転車によく高級パーツなどを鏤めてしまいがちなところもあるけど、普通の子どもはそんなもんまずわからんしこちらのエゴを押し付けたくもないない。

必要なら後はてめえ自身で好きにカスタムしろという意味を込め、極めて安いママチャリパーツ中心で構成。

 

今は細かい価値などわかってなく、ママチャリパーツでも問題なく機能するしなにより気兼ねなく使えこれで十分。

チープでも十分というかこれが現時点でのベスト。

 

自転車好きの視点で見なければ、サビサビの風貌でチープなパーツついてればスクラップのようにも見える。

ゆえに盗難もされにくいしこれが良い。

でも、これは親父の魂のこもった一台、日々大事に使い、少しでも離れる時は鍵を絶対にかけなさい、と強く念押し。

 

 

自分はこちらから何でも与えレール敷くのは好まず、自身で考えさせ時に愛をもって蹴落とすほう。

ゆえに父として用意するのはこの辺まで。

自分が彼に自転車作るのも最後になるかもしれない。

気に入らないパーツが出てきたらカスタム出来るところもたくさん残したので、自分自身でいじって自転車の深みと楽しさに自然と触れてもらえれば幸いだとささやかな願いを込める。

 

もし2台目欲しくなったら、自分で何か買うも良し、隆天の息子として生まれ落ちたのを利用しお下がりを利用してカスタムしたり教わりながらでも自身の手ですべて作り上げるのも良し。

 

 

 

 

この自転車をあげてからある程度年月も経った。

父がこの自転車に込めた詳しい核心の理屈など当然わかりもしてないだろうけど、ジワジワと男の所有欲を刺激しているようだ。

たとえ子ども相手でもきちんと彼を見据え、彼が好んでくれるようには作ったつもり。

作り込みをしたゆえに密かにも確かな手応え。

通常のお客様の自転車製作と同様に何故だが自然に使いたくなるものを追求、子ども相手でもそれが通用した模様。

この辺は普段のオーダー自転車作らせていただく仕事と同じで手抜きはない。

 

 

幼くとも男が浪漫を抱く自分専用のマシン。

自分だけのマシンはどこか誇らしげでかなり自慢の愛車らしい。

幼稚園の時に乗っていた市販の自転車とは気に入り方の違いが明らかに見て取れる。

こっちからは何も伝えてないがBBパイプに刻まれた名前の銘切を勝手に見つけ、自分のために生まれたマシンなのだというのも彼のお気に入りのポイントらしい。

ちゃんと見つけたなと少し感心。

幼い彼でもこういった反応を目の当たりに出来ると密かに職人冥利に尽きます。

 

なにやらいれこんできてるし成長してきたので、小さい頃から使っていた派手めなヘルメットもそろそろ卒業かと、自分が使っていたBELLの渋いレザー調ヘルメットをプレゼントしたらこちらも痛くお気に入り。

少しずつ大人に近づき、子ども用なんてものは嫌になってきた年頃。

大人と同じものを身に着け少々勇んでいるのだろう。

 

学校から帰ってきては、お気に入りのヘルメットと作ってあげたバングルで武装し、自慢の愛車跨っては一人近場のツーリングに洒落込む日々。

行く当ても何もないのに、毎日毎日欠かさず自宅周辺地域をずっとずっとゆったり乗り回している。

 

 

己一人で自転車に乗り出かけられるになってからは、どこにでも行ける感覚、翼生えたような感覚でも抱いてるのか、お気に入りのマシンに跨る高揚感もあって楽しくて仕方ないのだろう。

こっちが何言うことも無くとも自発的にしばらくこんな習慣が続いているのでどうやらほんと楽しいらしい。

 

そんな瞬間が自分にもあったかと懐かしく思う。

そのような感覚を自分自身最初にいつ抱いたかと言えば、今思えばポンコツだったけどはじめてスポーツ車を知人から譲ってもらったのが中学2年の時。

ロードマンのパチものみたいな自転車だったが、最初のスポーツ車はなんともかっこよく映りそれはもうお気に入りのマシン。

ポンコツでもママチャリとは次元が違う走行性能に心躍った。

その夏休みに知人と東京湾から新潟の日本海まで走破し日本横断できたときは本当にどこまでも行けるという事を強く感じたのを思い出す。

 

昔懐かしいものを思い出させてくれて、自転車ってやっぱり男の心を躍らせる熱い道具なのだなと、息子をみて再認識。

 自転車作りは大変だがこういった事があると頑張ってきてよかったと思う。

 

自分は人のために自転車を作るのが生業であり人生、息子のように近い存在でもお客様でも気に入って日々使ってくれるとなによりも嬉しい。

アーティストではなく職人、自分の表現をするのではなく人の希望に沿ったものを道具として作り込んだ結果で気に入ってもらえるのが喜び。

展示会などで目立つよりこれが楽しい。 

 

 

 

この自転車はまだ未完。

まずは愛車の整備ぐらい己の手で仕上げられないと話にならぬ。

あとは己で楽しみながら業を会得し仕上げるのだ。

 

 

二代目隆天(仮)

 

 

 

 

 

 

 

彼に合わせたつもりでも、結局は父親のエゴかのようなBMXでした。

彼のため頑張って作った自転車だけど、飽きて放置されちゃったら自分がチョイ乗り用でこっそり使っちゃいます。

 

 

 

お気に入りの愛車の威力もあって自分の仕事が良く映ってくれてるのか、今のところ絶対二代目隆天になりたいと彼自身が言っています。

無理やりやらせるつもりは毛頭ないですが、お客様の事を思うと自分が年老いてきた時に二代目が居るのは有難い。

そして自分が居なくなっても隆天の製品と技術が世に残るのは喜ばしい事です。

考え方良く素質もあってやる気に溢れた人間が身近に居るなら娘でもいいし家族以外でも継がせるぞ、と息子に告げると奴は絶対おれがやるとなにやら燃えてます。

子どもの言ってる事なので半分以上当てにしてないですが、やる気になっているのはなんでも良い事です。

 

いざ跡継ぐとなると果てしない技術習得も大変だが、うちの仕事は技術云々だけでできるものでないし、彼が大きくなる頃には時代も変わっているので、どうなるのかはわからないが永くを見据えて変わり変わらず頑張っていこうかと思ってます。

ただ継がせるのでなく、彼自身がより強くやりたいと思える仕事に感じさせ、自信を持って引き渡す事の出来る工房に仕上げておかなければいけないと思ってます。

そうするには曲がった事など出来ず日々精進してないと堂々としてられない。

近くに子どもの目があると思うといろんな面で怠けられないのでこっちも大変ですが、純度上げられるのもありでこれも有難い事です。

 

 

 

 

 

 

 

 

先は長そうですが親という漢字の通り、木に立ちそっと見守るが如く、あまり多くはしてやらずにいようと思います。

二代目を襲名する事があれば自分と同等かそれ以上には育てるつもりでいます。 

自分が長年かけて培った極意を要約して叩き込めるわけですから、自分と同等が最低限、むしろ超えて欲しい。

 

でも子どもの事というか目先の仕事を本気で積み重ねることしか結局は出来ないのかもしれません。

 

 

まずは愛車のメンテナンスから自身の手でやらせサポートしながら教えていく所存です。

好きでなくては出来ないこの仕事、押し付けもダメですし、職人として親として大人として良くない背中は見せられませんね。

 

実際に跡継ぐかはどうあれ、彼からデカく見える背中で在れるよう彼以上に常々頑張ろうと思います。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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