当工房で得意な分野、そのままの質感でいける金属を用いた産物。
人工的に作り出した加工ではなくリアルに生成された経年の変化は格別です。
以前紹介した鉄ベースのダマスカス鋼バングル。
数か月使用して黒みが増してきました。
これぞ鉄の色、まさに黒鉄。
比較的擦れやすい開口部付近は鈍い銀色、これも渋い。
我が愛車も初期と比べるとここまで育ちました。
あらためて写真を見返すと自分でも変化に驚きます。
一日の間で2時間程度乗って使用している間もフレームを触っているわけでないので、常々触れて擦れるバングルとは違い茶色味が強い。
最初期は銀、粒々の赤錆、びっしり赤錆、などの状態を経て変化。
錆が全域に行き渡ってから現在は至るまで錆の色が濃くなってきてます。
まだまだ未完のこのフレームに浪漫を感じます。
真鍮10ロゴは構造として組み込んでありますので、無論消えることなどなく同じく変化を続けます。
錆加工では無し得ない、本物の錆の質感と日々の変化。
このように錆を嗜めるのは耐候性鋼を用いたこのフレームの特権。
普段は忌々しい錆、このフレームならばもはや愛おしい存在。
普通のクロモリフレームは未塗装だと錆びて朽ちますのでマネしないでくださいね。
真鍮のステムとヘッドパーツ、砲金のスペーサーもフレームと同時に作ったもの。
当然真鍮メッキなどではなくこちらもリアルな金属の質感が使っていて楽しいです。
こちらはひっそりゆっくり進めている天天天のヘッドキャップサンプル。
強度性質が高い特殊な銅を用いて当工房で削ったサンプルですが、銅は変化が非常に早い。
使い始めてからまだ間もないですが、すっかり茶ずんでいます。
ここまで変化する間は色の変化が非常に面白い。
綺麗な銅色から、青味が差してきたりしながら茶色くなってます。
製作段階で磨き上げましたので、光沢はある奥ゆかしい茶色。
銅もこれから力を入れていきたい素材です。
メッキや色付けや錆加工でも素晴らしい出来栄えのものが多くありますが、経年劣化ではなく経年変化を楽しむには本物の無垢材には及びません。
金属の質感も人工的に作ったものよりリアルに生成されたものに趣を感じます。
塗装やメッキなどのようにコーティングが剥げるなんて事はコーティング面自体がない無垢材には絶対に在り得ないので、構造体として本体が存在している以上は変化も永続的に楽しめます。
無論いくら変化しようが使い込もうが、再塗装や再メッキなんてことも必要無し。
今回紹介した商品も自分が使用した一例に過ぎませんので、ライフスタイルや使い方やお手入れ方法などによって変わります。
人によって異なる質感も、こういった素材特有の面白い性質です。
今回紹介した私物サンプルは、基本的に普通に使って特に磨きもせずに使っているものです。
フレームやパーツだけ汚れ落とす程度にたまに乾拭きしているだけで、バングルなどは全く磨かずただ使っているだけです。
味わいやムラが好きでこのような金属や技法を用いてますので、磨きすぎると味わいがなくなりますし手間もかからず楽です。
REW10の商品はタフネスで永く使える耐久性を備えたものが多く、終わることの無い経年変化とともに末永く楽しんでお使いいただければ幸いでございます。
うちの得意分野として今後もこういった素材の探究をしていく所存です。